2014年2月24日月曜日

ソロ出します <その3>

(その2より)→続き。
各曲の解説、パート1です。













...と、言う訳で曲の解説等も含め、制作日記的なのを思い出しながら書いて行こうと思います。

iPhoneのスケジュールアプリを見ながらなので、当然「日時・事象等正確」ではない。
明日から2学期始まります的な『始業式前日に書く夏休みの日記』」のアプローチなので、何卒ご了承ください。





(1)Voyager suite(ボイジャー・スウィート)
Violn:中西俊博
Guitar Solo:桜井アヲcali≠gari







この曲は当初、「同じモチーフ」を「3つの別々なアレンジ」をして、それぞれを繋げて「作品(suite=組曲)」にしようと思っていました。

1番目=アンビエント物
2番目=フルオケ物
3番目=ビート物

モチーフ自体は、かなり以前から考えていた物を形にしていきました。
アルバム収録にあたって、2番目に入れようと思ってた「フルオケ物」が「予算+自分のスキル」的に納期までに完成するのが不可能だと判断して、冒頭のアンビエント部分とビートが入ってる部分(1番目と3番目)の2つで構成しました。

収録時間等を考えると、この形で今は正解だと思ってます。

バイオリンですが、鷺巣(詩郎)さんに「バイオリンで誰か良い人居ませんか??」と質問したら、速攻で中西さんをご紹介頂き、2014年年明けすぐに演奏して頂きました。


間奏の「ギター・ソロ」は、「とにかく普通じゃない感じ」=「70年代後半〜のアート・ロックHeldonとか、アート・リンゼイ)っぽい感じにしよう」と、漠然と思ってはいました。


普段、仕事でおつきあいしているギタリストの方々に頼むと、それはもう真っ当で「音楽的にきちんとしたソロ」になると予想。

で、cali≠gariの「桜井アヲ氏」に依頼。

別に、「桜井アヲが音楽的にメチャクチャ」って、話しじゃなくて、多分、こう言うアート・ロックとか好きじゃないかなぁ〜と以前話しした時感じたのでw
彼の作品を聞いていると、「楽典がどーのこーの」って言う話ではなく「ある種の天才」だと。
で、思ってた通りバッチリなソロを弾いてくれました。






(2)Universe of Love(ユニバース・オブ・ラブ)


Rap, Rhyming:宇多丸RHYMESTER

Guitar:筑田博志
Cho:坂田麻美



日本語で、更に「70's DISCOベースのフルオケ物」、例えば「Barry White物」を、今・現在やるとしたら、どんな感じになるんだろう?...って思っていたのが最初です。

タイトルの和訳も「愛の宇宙」だしね。

オケに関しては、予算と時間さえ許せば、「所謂さじ加減」も含め、聞いた感じを色々には出来るとは思っていたのですが、いざ、大体形になってきて、Barry White自身のあの「例の喋り」部分を「どうするか?どう解釈するの?」と言う問題に行き着きました。

日本で、喋りメインの作品では、過去に「中村晃子の”あまい囁き”」、ほぼアルバム全部が喋りの「岩下志麻の”炎のごとく”」等、あるにはあるのですが、どちらかと言うと、当時は学芸物。現在はカルト的な人気で色物扱い。


Barry Whiteの解釈を、そのまんま日本語でやるとなると「ワイルドな低い声のおっさんが、女を口説く時のエロ話し」的な、何と言いますか...とにかく「お笑い」にはしたくは無かったので、人選と共に別の物語を考える事に。



真意としては「都会的で、男女問わず聞いていて素敵な気分になる」と言うのをベースに考えました。





...と脳内で結論に達して、真っ先に「RHYMESTERの宇多丸さん」が、頭に浮かびました。宇多丸さんとは、以前、同じイベントの楽屋でご挨拶した事はあったのだけど、連絡先等分からずだったので「掟ポルシェ氏」に繋いで貰いましたw





趣旨に賛同して参加して頂き、大変光栄でございます。

本当に「素敵な気分」にさせて貰いました。ありがとうございます。
併せて、スタープレイヤーズの岸さん、荒井さん、色々ありがとうございました!

ギターは、福岡在のとても才能のあるクリエイター「筑田浩志氏」に。

数回の電話でのやり取り後、納品して貰いました。









(3)BlueFilm(ブルーフィルム)



作詩:さちひろ

語り:姫崎愛未(LinQ)






どうしても「東京を切り取った物」を、やりたかったので作りました。
頭の中でのイメージは「写真家のアラーキー = 荒木経惟氏が撮った写真」とか、深夜にやってる「CXのNONFIX」のイメージ。

で、喋りをやってくれたのが「LinQ姫崎愛未さん」。

スタジオで、姫崎さんが第1声を発してから、そのスタジオに居る「おじさん全員の心を鷲掴み」で大変!
当然「ルックスもCute」だしで、もーね、本当に良過ぎて、おじさん達「何でも言う事聞いちゃいそう」になりましたw

話し戻って。


今年から活動の場を東京に移すとの事。彼女の成功を祈ってます!

つか。一瞬にして声で人の心を引きつけられるんだから、大丈夫!売れます!

その他、細かく曲の細部を解説すると、関係各位との間で非常にマズい事になると思われるので割愛しますが、僕の「我がままな+意味不明のオーダー」を全部聞いて、詩(ストーリー)を作ってくれた「某テ◯朝Pの鈴木サチヒロ氏」に感謝します。


タイトルの「BlueFilm」には、Wikipedia等で出て来る意味も含め、全く関係がありません。

ただ、何となく「裏で通底している感じ(匂い)」が、タイトルから出るイメージに欲しかっただけです。



(4) Bogota(ボゴタ)

作詩、歌:和田昌哉Quadraphonic











「おされなJazz」と「HipHop」が合わさったトラックは色々とあれど、もう少しプリミティブと言うか、人が持ってる「本能・欲望」とかの要素を入れ解釈を変え、更にスパイスで、現代音楽とかのの「編集した感を入れたら」って思って作ってみました。


そりゃぁ出音のパラメーター弄り倒しましたよー(笑)


もっと「音の洪水みたい」にグチャグチャになると思ってたんだけど、意外にすっきり。

和田君と電話で打ち合わせの後、数回やり取りして完成。

で、和田なんだけど、一時同じ事務所だったりで、もう知り合ってから15年位たちます。

初期のケミストリー他、和製R&B作品では、沢山名前を見ます。
期待の作家です。

曲名の「Bogota」は、南米コロンビアの首都名です。

これまた、タイトルには全く意味がありませんw



(5)MAS03(マスゼロサン)



最初(Jazz Saxではなく)7管位の「クラシック・サックスだけのアンサンブル」をメインにして、全生で録ろうと思っていてスケッチを作っていました。

もう、まんまなミニマル物を作りたくて。
その後、和音・構成等の確認も有ったので、一度、フルでスコアを書いている途中で、諸般の事情で打ち込む事に。
「どうせ打ち込みでやるなら」って思って、思い切って「生楽器だけって言う括り」を外しました。






(6)Warm Darkness(ウォーム・ダークネス)



作詩、歌:書上奈朋子









曲のモチーフ自体は、相当前に思いついていて、何年か前に、久しぶりに書上嬢と世間話しをした時に「試しにやってみる?」的な感じで作り始めました。

その後、暫く時間が空いてしまったのだけど、今回ソロを作るにあたって、リアレンジして、再度、書上嬢に歌い直して貰いました。

書上嬢のソプラノがとても素敵なんだけど、この方、芸大では作曲科卒。

以前、彼女が所属していたユニット「エキセントリック・オペラ」でもキーボードってさ...歌えるなら、最初から歌ってれば良かったじゃん。
オレ、歌えないもん(笑)


画像は、ライナーノーツを寄稿して頂いた師匠の「鷺巣詩郎氏














→<その4>に続く。





アルバムの情報ページが出来ました。

https://www.facebook.com/mirrorballflare


2014年3月12日の発売です。





2014年2月18日火曜日

川口 昌浩(カワグチ マサヒロ)氏

川口 昌浩(カワグチ マサヒロ)氏 = 通称:ぐっちさん

この方、現在も仕事をしているメンツの中で、一番古い付き合いなんだけど、年齢も近くて、音楽の趣味もよく似ててで、現在はもう無い「赤坂・SOL(旧フリー・ポート)」スタジオ時代は、日本・海外での夜遊びも含めて、色々ご一緒させて頂きました。


この方の「テクノポップ好き」と言うか「テクノ・ヲタク加減」は業界では有名な話しで、あの時代のテクノポップを聞きまくってて、打ち込みでの録音が始まった初期からキャリアを積み、なお且つ「フルオケ・全生の一発録音」にも対応出来る数少ないエンジニアの一人です。

そのSOLスタジオには、SSLのGシリーズSONYの3324(後に3348)等のレコーディング・スタジオにある物は全て有ったですが、その他に(恐らく)シンクラビア以外の当時発売されていた(高級)シンセが、ほぼ全部常備。「出ない音色は無い!」と、言う位な機材量でした。


更に、スタジオが空いている夜中は、ほぼ自由に使い放題!

当時は、自分も含め作家さんは「書き譜」で譜面を持って行って、スタジオで「マニピの方に打ち込んで貰う」と言うスタイルで仕事をしていたんだけど、当時、ぐっちさんは「マイQX-3(ヤマハ・MIDIシーケンサー)」を持っていて、その「夜中のSOLスタジオ実験室」で、「これ、作ったの!」と、世界の高級シンセで再現する、全打ち込みの「YMOの”ライディーン”」と「ハービー・ハンコックの"Rock it"」を聞かせて貰った記憶があります。聞いた感想は「(当然)ヲタクぅ〜!」(笑)


オリコンチャートの1位〜20位までの8割位を、当時フリー・ポート発信で叩き出してた時代でした。


松本社長、所属していた鷺巣詩郎氏船山基紀氏、故・助川(マニュピレーション)氏のご好意だったのですが、その時代に「夜な夜な色々実験した」のが、現在に至るまで、自分の仕事の肥やしになっていると思います。


アレンジャー歴も無駄に長いので、色々なエンジニアと仕事しましたが、彼を超えるスキル・感性を持ったエンジニアには、まだ会った事がありません。

音楽に携わる者として「育ち」もそうだと思うけど、恐らく「先天的に耳が良い」と思います。

まぁ、アレンジャーの言う「こだわり」なんて「結構どうでもよい事」だったりするんだけど、そう言う細かい事にもちゃんと対応してくれて、皆が納得する音に必ず仕上げてくれます。

例:
「このオブリが聞こえない...」とか「ローエンドがどうのこうの...」とかね。


今回の自分のアルバムでも、色々と協力して頂きました(^^)




2014年3月12日の発売です。
松井寛/東京女子流 「Mirrorball Flare/Royal Mirrorball Discotheque」

川口さん本人から2点訂正が...(2014年2月18日加筆・修正)

[1]
  (正)SSL Eシリーズ
  (誤)SSL Gシリーズ

[2]

  (正)千のナイフ(坂本龍一)
  (誤)Rock it

...でした。













2014年2月9日日曜日

ソロ出します <その2:変な曲入っててゴメンなさい>

(その1)より→続き。

...とまぁ、公私共にダラダラと生きて来たので(恐らく人生の中で)こんなに仕事している時間が多いのと、それを継続出来ている自分に「軽く驚いて」いますw



(さておき)

メジャーからアルバムを出すにあたって、色々と決めとかないとマズい事を「決められる項目は、とっとと決めていった方が良い」と、気が付いたのも「2013年11月頭位」。

(取り急ぎ)

ライナーノーツは師匠の「鷺巣詩郎氏」に依頼。
もう知り合ってから四半世紀以上経ちます。以前、このBlogで書いていて重複するのだけれど、ソロを出すにあたってもう一度「鷺巣さんについて」。

ここ何年かは、お互いの「向かうべき仕事の方向性」が別れてきて、鷺巣さんが作る膨大な作品の一部を「自分が何曲かお手伝いをする」っと言う物件が続いています。
自分が関わった・関わらない含め、鷺巣さんの作品を聞いていて、毎度毎度「凄いなぁ〜」って思うのは、毎年毎年、恐らく同業者じゃないと分からない様な細部に渡っても、音楽のレベルがどんどん上がり続けています。出会った頃は、自分が「小生意気な小僧感全開」だったので「いつか越えられる〜」と、本気で思っていましたが、知れば知る程、更にここ何年かずっと「あ、死ぬまで無理なのねぇ〜」っとw

自分の音楽に、これほどの影響を与えてくれた方は居ません。
本物の「現代の天才の一人」です。

...と、言う事も含め。
はっきり言います「まるっと色々パクらせて」貰いました。
ありがとうございます!w


(お歌について)

そもそも歌心が全くないので、どなたかに「フューチャーリングでボーカルをお願い」しないといけない曲が何曲かあり、とは言え、断られるのを前提に、曲に合いそうな方を想定して「ボーカリスト本人・事務所・レコ社」に打診してみました。

がっ!!


まぁまぁまぁ「思ってた以上に断られました」よ!まぢ。


「そりゃそうでしょ??」ってば。

「アレンジャーのアルバム」で歌うなんてねー。
あははははっ(笑)

...とは言いつつも、自分ってどんな「パブリック・イメージ」なんだろうって、思ったりもしてw


この年齢になって来ると、今でも(濃い・薄い含め)「付き合いがある・繋がりがある」方々って、恐らく何かの縁「前世も多分一緒だったんだろうなぁ〜」っと思ってて、諺で「袖振れ合うのも他生の縁」とはよく言ったものだと...ねっ。

また、快諾し歌って頂いた方々には、本当に感謝しています。ありがとうございました!

ちなみに、以前と言っても、これまたもう20年以上前の話しですが、当時、アレンジの仕事をしていた「知◯里奈さん」の誕生日パーティで、本人から「何か歌って下さいよ〜」って言われ、仕方なく(会場の高級カラオケ・ルームで)歌ったら「どん引き」された後、本人から「松井さん、歌わない方がいいよ〜」って冷たく言われた事アリ(涙)。

ちなみに曲は、十八番の「北酒場」。


(併せて「詩」についても)

普段から「人名、団体等の名称」総じて日本語を「メチャクチャに間違って覚え」ていて...
打ち合わせの席等で...

「名前・名称」を間違える失態→

その場の空気が凍る→
当然、居たたまれない状態→
以後、パタっと仕事が来なくなる。

....に、なった物件多数w


他にも、自分の会社を法人登記した時、銀行の担当と話しをしながら書類を書いていたら、取締役の「締(しまる)」と言う漢字を(あれ?どんな字だったっけ??っと)忘れてしまい、某銀行の担当者に軽く笑われた後...

銀行の担当者:
「取締役の『締』の字はぁ、糸偏の『糸』書いてぇ、帝国「帝」を右側に...」と少し小馬鹿に言われた後、
「あぁ〜、松井さぁん、会社名とかぁ、入ってる『ゴム印』早くぅ作った方がいいですよー」

...って、言われました(大きなお世話ざます!)。

まぁ、ここ20年以上、譜面とカードのサイン位しかまともに字を書いてないので、しょうがないかとw
なので、当然「作詩なんかとんでもない」これまた外注せねばと...

ラッキーな事に、自分の周りには「安心してお願いできる言葉の才人達」が。

更に僕の「言っている意味すら分からない『わがまま』」を聞いてくれる「大人な言葉のプロ」が何人か居て、こちらはほぼ全員快諾後、素敵な詩を納品して頂きました。


(その他)

remixは計2曲で、1曲は「DJ 木村コウ+Modewarp野口和昭」の両氏。
コウちゃんとは、知り合ってからはもう15年以上だと思うんだけど、最近よく仕事してます。

この「DJ 木村コウ+Modewarp野口和昭」の両氏のチームなんだけど、「DJ・クラブ業界での話し」については「日本屈指のクラブDJ」なので割愛しますが、リミックスとかノンストップのプロダクションでも、今「日本で一番イケてるチーム」。

恐らく歌謡曲を含む全ジャンルに対応可だと。
「風営法・クラブの深夜営業」の一件も含め、真剣に「ダンス・ミュージック」の事を考えてる方です。

更に、アルバム2枚組のもう1枚の「東京女子流のノンストップ、ミックスCD」もコウちゃん・野口くんチームに頼みました。

で、このミックスCDなんだけど、これがまた「繋ぎ」のタイミング「曲順」を含め、パーフェクト!
自分がやったら、こんなに丁寧で、更にグっと来る感じにはならなかったかなっと。

意外だったのが、普段コアな「テックHOUSE」をメインで掛けてるコウちゃんが、自分で「東京女子流の歌詞」をネットでダウンロードして、歌詞を聞きながらミックスしたって事(!)。


本人曰く「一つ一つの歌詞の内容読んで理解し、ミックスのストーリーを考えて繋ぐ順番を決め、最後にハッピーエンドにしたかった」との旨。

流石です!
で、とにかく出来が「すっげー良いの!!」。
つか。今、自分のカーステでは、コレばっか聞いています。

もう1曲のremixは、台湾在のプロデューサー 「Justin Chen」にお願いする事に。


ジャケ周りのデザイン等は(結構差し迫った「ヤヴァい納期」等を考え)これまた、わがままを全部聞いてくれるだろう「高浪マサハル氏」に。



(その他)


全体のスケジューリング・ブッキング・制作進行等と、共同プロデュースを「ユニバーソウル与田春生氏」に。
自分が20歳代の頃からの付き合いだから、もうかれこれ20年以上。

過去には、びっくりする位「大成功した物件」も、同じく、びっくりする位「あれ?っと思う物件」も一緒に作ったけど、今となっては「一番信頼出来るプロデューサー」。


更に、ここ何ヶ月間に渡って彼の「普段、自分は立ち会わない歌録り」も、横で見ていたんだけど、与田春生氏の(ボーカル・ディレクションも含め)エディットのレベル・スキルが「強烈な事・強烈な事」


リミックスで、よく「テンポをタイムストレッチで変える」事が多々あるんだけど、歌のディレクションも含め、エディットが「雑」だと、ストレッチすると本当に「ケロっちゃう」のに、与田春生作の物はケロらないんだよね。

ボーカルデータがちゃんとしていると、もの凄く綺麗にストレッチが出来て「こんなにも、他のプロダクションの物とは違うんだ」って事が、よーく分かりました。ハイ。



確かに「Macコンデンサーマイク Protools (DAWソフト) + Autotune (ピッチ系プラグイン)」になってからは、誰でも簡単に「歌録り」が出来て「それっぽい感じ」にはなるんだけど、明らかに「ちゃんとしてる/してない」がある世界だと。


彼は「タイミング・ピッチ」は元より、例えば:「歌い回しの細かい『しゃくり上げ』」も、ピッタリと合わせないと気が済まない「ある種の潔癖」だって事も発見しましたw


(で) 

表のアレンジ・リミックスの仕事と、自分のソロの作業も含め、約10曲以上を平行して進めて行くと言う、強行スケジュールが何週間か過ぎ、やっと納品の目処がたった感じです。

余談だけど、強行な制作期間中、日頃の不摂生も祟って(この年齢になると)軽く風邪引いても、治りが遅いと言うか、ダルいのが続くと言うか、肉体的に「あぁ、こうやって、人間って朽ちて死んで行くんだぁ〜」と漠然と感じる事がありましたw
「理論だ倫理だ」って言っても、最後には「感覚が全て」だと思ってる自分としては「新しい感覚」で、気が付いた時には「ある種新鮮」だったんだけどねっ。

...と言う訳で、オリジナル10曲、リミックス2曲の計12曲でアルバムが出る事になりました。



次回は各曲の怪
?)解説です。

次回に続く...<その3>




2014年3月12日の発売です。

2014年1月31日金曜日

ソロ出します <その1>


ここ5~6年前位から、国内外の音楽的に影響を受けた方や、過去に音楽を一緒に作った方、高名で他分野だけど割と気になってた方々が他界すると言う訃報が相次ぎ、物心がついてから今の今まで、相当ダラダラと生きて来た自分でさえ「死」についても考える様になり、否応なしで「死生観」を頭の一部に置く様になりました。

...と言っても、日頃の行いを正すとか、何か健康に気をつけるでも無く、そこら辺は「漠然と音楽の神様任せで」と言うスタンスは変えずに、もうそろそろ「(死ぬ前に出す)ソロを作る用意」をしようと思いたちました。
予算と時間を考えると用意に1年位、実際作業に入って3〜5年位掛かるかなぁ〜って、ボアっとなんとなく思っていました。

いま作るなら...
現代音楽にまたがる物1枚」と
「ポップスにまたがる物1枚」かな
...っと。


余談なんですが、現代音楽と言うカテゴリーに入る物ってって、自分とってはポップスやJazzなどの「表の音楽」と同じ位に、ドキドキする音楽なんだけど、どうも世の中はそうじゃないみたい。
自分の周りで調査した感じでは、極一部のクラシック・ファンと音大生(現役・卒共)がメインのリスナー。
「音」と言う物に対して、商業的な結果を求めず色々なアプローチが許される唯一のジャンルだと思っているんだけどね。
「現代音楽」的な視点(?)で「音」とか「音楽」を見ていると、冷静に「ドミソの呪縛」ってコワいなっと。高校の時位に、生半可にライヒとかクセナキスとか聞いちゃって、そう言うジャンルがあるって知っちゃったから(ある意味)疑問を持たずに音楽を作る事が出来なくなりましたが..w



(さておき)
自分だけじゃ出来ない事も多いので、公私で付き合いのある近い人達に、雑談がてら「手伝ってね~」的な話しを時々していて...

その中の一人、DJの木村コウ氏と、呑気に恵比寿・ウエスティンのラウンジで、ケーキを食べながら話ししたのが3年前。

表の仕事の合間を縫って、一つ一つの曲を完成させるでも無く、曲のアイデア・スケッチ的な物を「時間が出来たら作り~時間が出来たら作り」で、都合15~6曲を作り置きしている状態に。


それが、昨年の夏終わり位に、東京女子流担当のavex佐竹さん(通称:S竹さん)から、次のツアーの名前を「Royal Mirrorball」を冠したツアーにしたいと相談が。

(あら、我社の名前を宣伝してくれるのねぇ~)と内心喜び。
「それじゃ、そのタイミングで被せてソロ出しちゃおうかなぁ~」と、その時は相当軽い流れで話しは終わっていました。



(暫くして)

「ソロやるから手伝って~」と伝えていた中の一人、与田春生氏と別件で打ち合わせしている時、自分のソロの話しになり...

与田(氏)
「ところで、まっつ(と与田氏から呼ばれてます)。このソロってどこから出すの??」

松井
「へ?アレンジャーのソロなんか、どこも出さないと思うから、自分でプレスしちゃおうかと思ってるけど...w
「ただ、(ソロに)参加した人の印税の払い出しとかあるから、窓口になってくれそうな出版社には、話ししに行こうと思ってるけど...

与田
「あそ。じゃぁ、女子流のツアーに自分でダンボール持ち込んで、そこで自分で売るの??」

松井
「あ″

...と言う、冗談みたいなやり取りの後、与田氏の提案で、まずはavexの佐竹さんに相談する事に。

与田氏主催の渋谷のユニバーソウルスタジオで、与田氏、佐竹さんとを交え話しをして、晴れてavexより発売する運びになりました。


当然、発売日が決まると逆算してマスターの納期が決まり、全て未完成で途中だった「それぞれの曲」を完成に向けて作業しだすと難題多数。

まぁまぁまぁ、自分の事になると「スパっ」と決めれないし「ダラダラ」と進まない事に『イライラ』。

別に手を抜いているって話しではなく、他の人のアレンジや曲を作る時は、例えば「音色Aにする?」それもと「音色Bにする?」って判断が必要な時、やってみて即決でどっちかに決めて来たんだけど、こと自分の話しになると「あ、時間あるから、後で決めよう~」と、悉く保留にしていた事が裏目に出てしまい...

「悩みに悩む」→
「どうしよう!?」→
「無駄に時間が経つ」→
「焦る」→
「それに落ち込む」

…のループ。

自分が関わったアーティストの方々が、自分(達)で判断して物事を決めて、一つ一つ前に進んでいる事自体「凄い事だなぁ~」と、身を以て感じました。

関わったアーティスト・スタッフの皆さん、電話やスタジオ等で(軽い口調で)「自分、待てない性格だから、早く決めて~」と、心無い言葉で急かせた事を本心よりお詫びしますm(__)m

加えて、メーカーから出すとなると、音源以外で決めなきゃいけない事も沢山あるって事も、否応無しに降り掛かってきて。<ジャケのデザイン、アルバムタイトル、クレジットなどなど...ねっ>


20歳代の頃、ゲリラ的に自費で12インチを作って売ったり、それが海外でライセンスで単発で出たりした事は何度かあれど、同じく20歳代前半に、AlfaZaZaから、半分企画物っぽいリーダー作のアルバムを作って以来、軽く20数年ぶり。


プロモーション上、早く決めて欲しいと言われたアルバムタイトルも、最初冗談で...

(完全にその場の受け狙いで)
「あ、それじゃ、冨田(恵一)さんの『冨田ラボ』に対抗して『松井病院』(笑)」


...と、冗談で言って、すっかり忘れていたアルバムタイトルが「もういい加減決めないと本当にマズい」って時期に差し掛かった所で「候補に急浮上」。

佐竹さん
「『松井病院』ってアルバム・タイトル、相当インパクトあると思うんですがね...w

松井
「いやいやいや。ないでしょw
「つか、その前に、冨田さん怒ると思うけど..(汗)」

...と言う、これまた冗談みたいなやり取りの後、なんとか決まりました。



そう言う訳で、
今回も相変わらずドタバタしています。

次回に続く...
<その2:変な曲入っててゴメンなさい>

2014年3月12日の発売です。

2013年2月20日水曜日

MISIA "Super Best Records ~15th Celebration~" 「INTO THE LIGHT 15th Ver」作業日記。



MISIA "Super Best Records ~15th Celebration~" 「INTO THE LIGHT 15th Ver」作業日記。

久しぶりに、リズメディアの谷川さんから電話があり、15周年のベスト盤を出すとの事。後日、打ち合わせ。
INTO THE LIGHTを「これから先10年聞ける音にバージョン・アップしたい」との意。

昨今のダンスミュージックの傾向、移り変わりのサイクルを考えると、半年後でさえ正確に「現場の音がどうなっているのか?」の予想は不可。どうしようか思案。
「House Music」と言えば、日本のTop of DJ、「DJ KO KIMURA(木村コウ)氏」にサポートを依頼、快諾。KO KIMURA氏との打ち合わせ後、二手に分かれて作業する事に。
ドラム部分を「ModeWarpの野口氏」を含めた「KO KIMURAチーム」それ以外を自分に手分けを。

制作当時、Roland SBX-80+Yamaha QX-3で打ち込み、Sony 3348+SSLで作業していたので、まずは今のProTools上でテンポをFIX。この作業は、Engの川口昌浩氏に依頼。
Sony 3348からのSMPTE信号をRoland SBX-80でMIDIクロックに変換していた為、案の定テンポが「♩=129.95…」との表示。この先の事も考えて、ProToolsで「♩=130」のセッション作り、その上にオリジナル・データを貼り、タイミングがズレてる部分の修正。
他、トラック・ダウンで使用しなかったトラックのミュート等。
また、当時のSony 3348上での作業が「44.1Khz/16Bit」と言うレゾリューションだった為、(恐らくデジタルで)インポートした時の「44.1Khz」のままだったので「48Khz/24Bit」にコンバート。
作業時にモニターをする為に、軽くバランスを取った後、ステムと2MIXを作成。
これで、ようやく作業が出来る状況に。

師匠の「鷺巣詩郎氏」の書いた「弦・ブラス」が、とてつもなくすばらしく、これを残す事を決定。
他、同時に曲を構成する「印象的なフレーズ」も残す事に。

まずは、骨格部分。
ドラム部分の大半はKO KIMURAチームが作業するので、自分はベース・パートに着手。
オリジナルは「AKAI S3000XLで生の指弾きの音色」で作られていたのだが、この先10年と言うテーマを考えると、シンセ・ベースに変更。
色々なスタイルと音色でトライするが、どうしてもオリジナルのフレーズの印象が強過ぎて、結果、オリジナルのベースラインをシンセ・ベースで完全コピーする事に。
これが意外に難産。ベース音なので、1音でも違うと微妙な違和感が漂ってしまい、ごまかしが効かない事が判明。3時間位掛けて完コピ。
コード(和音)を押さえているパートが、ピアノとエレピ、パッド等だったので、更に透明感を出す為にビブラフォーン音を追加。
他、1パート毎に、21世紀のシンセ音に置き換えた方が良いと思われる音色の置き換え作業。
「音色の立ち上げ→耳コピ→置き換え」の作業の繰り返し。

KO KIMURAチームのデータと、自分のデータを合体。細かな擦り合わせをした後、レンダリング。

MISIA本人のリクエストでパーカッションを「伊達弦氏」でダビングする事に。
同時平行作業で、MISIA本人のメイン・ヴォーカル、コーラス録音。
トラッキングがほぼ終了したので、トラック・ダウンに向けて、細かいタイミング等も含めブラッシュ・アップ。

トラック・ダウンは、Eng 川口昌浩氏(@リズメディア・スタジオ)。
前日に、川口氏には「歌」「弦ブラス」「ローエンド」を優先して欲しいとリクエストしてたので、夕方過ぎに確認に行くと、ほぼ完成。更に細かいオーダーを出す。
MISIA本人、谷川さんも到着し、細かいリクエストに対応。
最終的に、NYのDJ GOMI氏も交え、全員でADAMのモニターで大音量で聞きながら、確認。プリント。完成。
ちなみにKO KIMURA氏は、来日中の「UnderWorld」のメンバーと、寿司勝に寿司を食べに行っていて遅刻(笑)






2012年5月14日月曜日

アーカイブ

過去の関わった作品のアーカイブです。
ファイルの保存日が2006年8月なので、そのあたりまでの情報だと思います。
また、作品の管理が悪くて、かなり抜け落ちているかと思いますが、どうぞ、ご容赦下さい。










2011年8月18日木曜日

最近...


「...ブログ書いてないですねー」って言われるので、某フリーペーパー(?)に寄稿したのを、無断で転載しますね(笑)


---------------------------------------------------


「モニター環境」と「ローエンド(低音)」に付いて話ししますね。


最近は、パソコン・ソフトが低価格で更に高機能なので、自宅で音楽を作ってる人も多いと思いますが、音楽の作業をして行く時、モニターの音量が重要な役割を果たす時があります。

特に、ダンスミュージックの場合、ローエンドの聞こえ方一つで「全体のノリ」とか「作業のヤル気」までも左右する事が多々あります。

日本の住宅事情を考えると「大音量が平気な一軒家に住んでる」とか、「自分専用の防音室を持ってる」方は、恐らく少ないと思うので、昼間はまだしも、てっぺん越えてからの大音量は、ご近所さんとの諍いの元にもなります。

そもそも、ダンスミュージックを昼間から作る気には、ならなかったりしますが…(笑)

自分の場合、時間帯や場所に左右されずに作業したいので、外のスタジオ以外は、常にヘッドフォンで作業しています。

10年位前に、相当数のヘッドフォンを買って選んだ結果「SONY MDR-Z900(絶版)」を今でも使用しています。

ダンスミュージック、特にクラブでしか掛からない曲とかは「ローエンドが命」だったりするので「ローが出てて当たり前」、「大音量のクラブでしか聞こえない重低音」でも問題ないのですが、自分が「出入り業者」をやってる「J-pop」等の「歌謡曲」に分類される物は、リスナーの多様な再生装置(テレビ、カーステ、パソコン等)でも、「ローエンド」が聞こえないと不味い事になります。

小さいスピーカーだと、単にベースが聞こえない「スカスカの音」に聞こえ、クレームの対象になったりします。


そこで登場するのが、プラグインです。

イコライザーで手っ取り早く出す方法もあるのですが、自分は「ベース・エンハンスド系」の物を多用しています。

「ベース・エンハンスド系プラグイン」とは、原音に対して「1オクターブ下の音」等を加え、見かけ上の「低音の帯域」を増やして、聴感上の低音を聞こえやすくするソフトです(ハードウエアー系だと「DBX 120xp」も同じ効果があります)


自分は、「waves Maxx BASS」「waves Renaissance BASS」を使用してます。

ただ、誤解の無い様に付け加えると、ヘッドフォンとか大音量でしか聞こえないローエンドもあるので、他のプラグインと同様に「何でもカンでも使うのでは無く」パラメーターをいじり倒して、自分独自の設定を見つける事が必要だと思います。


今日の1曲。

Van McCoy " The Hustle"

当時、”ハイファイ”と言う言葉があったなら、間違いなく一番になった曲。今でも、ハイファイ。